購入したツェルニーは、結局、何のアーティキュレーションの記号も、指番号さえも無いシンプルな楽譜でした。これなら校訂もなにもないものですが、変にいじくられているよりよっぽどましというもので、むしろ私としては好ましいくらいでした。それほど私はツェルニーを馬鹿にしていたのでした。
ところが、弾いてみて直ぐ、驚くべき事実に遭遇しました。実は、この楽譜は何の工夫もないどころか、傑作と言っていいほどの校訂だったのです。それは、ページのきり方にありました。私は自分で譜を打とうとしたので良くわかるのですが、改ページの場所が絶妙なのです。三声のリチェルカーレでは、曲中、二度、譜めくりが必要になるのですが、その二度共がペダルに頼らずとも全く音を途切らさずに譜めくりができるのです。それでいて、各ページのボリュウームに偏りがありません。ツェルニーは、やはりある種の天才と思い知らされた瞬間でした。それを馬鹿にしていた自分の方が愚かというものです。その後、ベーレンライターも手に入れましたが、当たり前のように、そのままでは譜めくりは不能でした。
きっとツェルニーしか知らないならば、あまりにも、さりげなさ過ぎて、その天才ぶりに気づけもしないことでしょう。ツェルニーとは、音楽史に名を残す他の音楽家達のような華やかさとは一線を画す、ひそやかな天才なのでしょう。
あれほど崇拝していたブゾーニもチェンバロに転向してからは、華美が過ぎて興味が湧かなくなっていました。
というわけで、今は、ツェルニーが私の一番信頼する校訂者なのです。
What remarkable is the Czerny’s is that the page breaks. I can turn the pages without cutting the sound at all. And that at no pedal. And yet, the volume of each page is equal. So far from bat reputation, he is a genius.
Now Czerny is my most reliable editor of Bach.
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